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私はこのイヌの出会いを、夫々が示すはっきり違った性質の実例として選んだ。
現実には、自信と恐怖や自己顕示と尊敬や攻撃と防御などの感情とそれに対応する表現行動の間に無数の変化と組合せがある。
それが行動反応の分析を非常に難しくするのである。
そしてイヌの表情に、ときとしてごく部分的にしか見分けることが出来ず、また他の場合には別の表現と絡まり合った形でしか見る事の出来ない、そうした行動反応を確認するためには、表現のタイプに通暁していなげればならないのである。
イヌの中枢神経系の遺伝的形質に早くから形成されている、とくに心をひくイヌの習性がある。
それは女性と子どもに対する騎士道にかなった態度である。
正常な雄であれば、同じ品種の雌に噛みつくものはない。
雌イヌに噛みつくのは絶対にタブーだが、雌イヌは雄イヌを好きなように扱うことができる。
軽く噛むのは勿論、手ひどく噛みつくことさえ出来るのだ。
雄イヌはこれに対して報復することなど思いもよらず、敬意を表す仕草や「儀礼的な表現」が取れるだけで、せいぜいのところ、雌イヌの攻撃を遊戯に変えてしまうぐらいが関の山である。
男性としての尊厳は、もう一つだけ残っている手段すなわち逃走をも禁じている。
というのは雄イヌたちは、いつでも雌イヌの前で「メンツを保つ」ことに汲々としているからである。
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すぐれてオオカミ系の血が勝っている全てのグリーンランド犬と同様だが、オオカミではこの騎士道的な自己抑制は、自分が属する群れの女性にのみ及ぼされる。
圧倒的なすべてのイヌでは、よしんばそれか完全なよそ者であっても、この原則は全ての雌イヌに適用されるのである。
チャウチャウ犬はこの中間的な位置にある。
この品種の雄イヌは恒常的に自分と同じ品種の雌イヌと暮らしている場合、見知らぬジャッカル系の雌イヌに対して粗暴な振る舞いをする事がある。
最も、私は実際にジャッカル系の雌イヌに噛みついたチャウチャウ犬の雄を知らない。
オオカミの血統を強く引いているイヌと普通のヨーロッパの品種の間の動物学上の基本的な相違について、もう一つの証拠を求めるとすれば、二つの異なった野生の形態から生まれたこの二つの品種の間に、一様に存在することが観察できる反目を指摘しておきたい。
チャウチャウ犬は村のイヌか1度も見たことの無いような自然の敵意を掻き立て、また反対に、どんな雑種のイヌもジャッカルやディンゴをすぐに自分の同類として受け入れることは、両者の区別についての頭蓋や骨格のあらゆる計測値や測定値の統計上の結果に根拠をおく反対意見よりも、私にとっては、遥かに説得力のある論拠なのである。
私の意見は、社会行動のある種の例外によって、その妥当性か強められる。
反対のタイプに属するイヌは、屡々お互いを認めないため、雄イヌか雌イヌや子イヌに関する最も基本的な「イヌの権利」をさえ尊重しない。
そこで分類的・系統的な首尾一貫性を重んずる行動の研究者や動物学者は、オオカミ犬かジヤッカル犬とは異なった種であることを知ることか出来るのである。
そして、科学的な論争には確かに影響されないイヌ自身が疑いもなく同じことを知っているのであり、私としては、まさに言わず語らずの内に、どんな統計よりも雄犬らのほうを信ずるわげである。
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ところで、チャウチャウ犬の雌は雄イヌを懲らしめたいとき、特別耳触りに喧しく吠え立てるし、特殊な噛みつき方をするのである。
戦う雄イヌのように激しく、深く噛むわけではなく、明らかに皮膚の表面に歯を立てるだけだが、それは雄が苦痛に耐えかねて悲鳴を上げる程に力強い。
このオオカミもまた声を上げた。
それと同時にオオカミは、尊敬と礼節を示す態度をとって、宥めようとした。
当然ながら、私は私自身に降り掛かる結果を恐れて、雄犬の騎士道精神に試練を与えたくは無かった。
そこで私は怒っている雌イヌに静まるよう、厳しく命令した。
つまり皮肉にも、私は気だての良いオオカミを傷付ける事の無いように、謎責しなければならなかった。
ほんの十分前には、私は、この強い猛獣が襲い掛かった時に大事なイヌを救うため、檻の外に鉄の棒とバケツの水を二杯用意して置いたのである。
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